「高城未来ラジオ」収録にて

「エビデンスのない免疫療法は、欧米の医療機関で行われていないのに、なぜ日本で免疫療法が広がっているのでしょうか」

9日午後、マルチクリエーターの高城剛さんがパーソナリティを務める、「高城未来ラジオ」の収録に、ゲストとして呼んでいただいた。
冒頭の疑問符は、歯科治療や胃がん検診の話から、がん治療にテーマが移った時、高城さんから投げかけられたもの。
海外の医療事情に関心が高く、ゲノムの最新事情にも精通してる高城さんにとって、日本の免疫療法は極めて不思議な存在に感じるという。
彼の問いに対して、私は次のようなことを話した。

  1. 「診療報酬が切り下げられ、病院やクリニックの経営は以前のように利益を上げるのが難しくなった。そのため、自由診療で高い利益が上がる免疫療法クリニックが増加している」
  2. 「免疫療法クリニックには、国立がん研究センター、東大、癌研有明病院などの重鎮たちが名を連ねる。末期がん患者や、家族は、そのブランドで免疫療法を信用してしまう」
  3. 「免疫療法クリニックは、ホームページに効果があったとする症例を掲載して、患者を信用させている。しかし、抗がん剤と併用したケースばかり」
  4. 「緩和ケアの普及が遅れていて、抗がん剤治療をギリギリまで続ける選択肢しか提示しない医師もいる。それで、副作用を軽減できるとアピールする免疫療法に、患者の関心が集まる」
  5. 「治療の限界、生命力の限界というものが必ずある。その現実を患者や家族が受け入れられず、治療を継続することに救いを求める心情に、免疫療法が巧みにつけ入っている」

これに対して、高城さんからは意外な話が提示された。
ネタバレになるので詳細はお伝えできないが、今の日本人が見直すべき視点だった。

末期がん患者にとっては、完治できないとしても、生きる時間を少しでも長くしたいと願うのは当然だ。
だからと言って、自由診療を免罪符に、効果が立証されていない「免疫療法」が、莫大な費用を取っているのは、倫理的にも、医療としても極めて問題だ。
勝俣医師や大場医師が、免疫療法の問題点を厳しく指摘しているが、医療界全体は沈黙しているように見える。
事なかれ主義の姿勢は、末期がん患者に対する背徳行為ではないだろうか?

※「高城未来ラジオ」は、近日中にiTunes で配信される予定です

マルチクリエイターの高城剛さん
マルチクリエイターの高城剛さん(C)M.IWASAWA