ゾフルーザの耐性問題と謝礼金
インフルエンザの勢いが止まらない。今日、厚労省が公表した最新の調査によると、1週間で患者数が約10万人増加、1医療機関の受信者数は約57万人。
インフルエンザの統計を開始して以降、過去最悪の流行だ。
テレビや新聞が、画期的なインフルエンザの新薬として紹介していたのが「ゾフルーザ」。これを服用した小学生2人から耐性ウィルスが検出されたと、国立感染症研究所が先月に発表した。
関連ニュースで、不可解な解説をしていたのが、日本感染症学会・インフルエンザ委員会の中心人物・菅谷憲夫医師である。
「この薬は1回の服用で効果が出るなど、非常に大きなメリットがある。一方で、耐性ウイルスが出やすく、変化したウイルスには不明な点があることから十分に検討して使用すべきだ」
NHK NEWS WEB
菅谷医師は、1回の服用で効果がでるのは非常に大きなメリットだというが、それが「耐性」リスクを上回るほどなのか、疑問だ。
慎重な臨床医は「耐性リスク」を憂慮して、今シーズンの「ゾフルーザ」使用を見合わせている。
「十分に検討して使用」という言葉の真意も伝わらない。これでは、現場の医師に責任を丸投げしているようなものだろう。
当初から「ゾフルーザ」の耐性は、臨床現場で懸念されていた。国内第III相臨床試験では、ゾフルーザを投与した小児患者の77例中18例(23.3%)で耐性(アミノ酸変異株)が認められていたからだ。
ちなみに、タミフルの耐性頻度は約1%、リレンザでは報告されていないことを考えると、「約23%」という数字は無視できないはずだ。
そこで今年公開された、マネーデータベース(ワセダクロニクル&医療ガバナンス研究所)で、菅谷憲夫医師を検索すると、総額200万円を越す謝礼を製薬会社から受け取っていたことが分かった。
<6社 11件 2,027,687円>
<内訳>
塩野義製薬 3件 618,725円
中外製薬 3件 515,487円
鳥居薬品 1件 309,363円
アステラス製薬 2件 250,000円
MSD 1件 167,056円
第一三共 1件 167,056円
最も金額が多い塩野義は「ゾフルーザ」と「ラピアクタ」の製造販売元。中外は「タミフル」、第一三共は「イナビル」と、インフルエンザ治療薬を販売している製薬会社が目立つ。
特に塩野義からの謝礼は「コンサルティング等業務委託費 1件 309,363円」、「講師謝金 2件 309,362円」。
これだけの金が渡っていると、ニュースのコメントに影響が出ても不思議ではない。
権威とされる医師が、患者本位に発言しているのか?
マネーデータベースは、客観的な判断材料を与えてくれた。
緊急シンポジウム「医師が伝授する患者のための“製薬マネーデータベース”活用法」が、今月3日に早稲田大学で行われる予定。
場所:早稲田大学早稲田キャンパス3号館302教室
(開場13時、16時30分終了めど)
主催:ワセダクロニクル × 医療ガバナンス研究所