東京で展開している免疫クリニックのホームページに掲載されている「樹状細胞ワクチン療法の累積症例実績」を示す2つのグラフ。
このクリニックが技術提供を受けている会社の契約医療機関の症例合計だという。
2017年3月末にデータを更新している「累積症例実績」(画像1)は、右肩上がりに伸びていることを示している。
そして、部位別のグラフ(画像2)は、すい臓がんの症例が突出して多い、と読み取れる。
予後が厳しい難治性のすい臓がんの患者にとっては、目を引くデータだと思う。
しかし、奇妙なことに、2つのグラフのいずれも症例数の数字がない。
技術提供を行う会社のホームページには、2017年6月末現在の部位別症例数(画像3)が掲載されており、こちらのグラフには症例数の数字は入っている。
だが、「樹状細胞ワクチン療法の実績 約11,410例」という表記が引っかかる。医学論文であれば、症例数に「約」という数字などあり得ない。
さらに、症例数を提示するならば、奏功率などの有効性のデータも添えるべきだろう。
患者に対する情報提供だからといって、基本的なデータ管理がズサンでは治療内容にも疑問が浮かぶ。
「確かな症例数と実績があります」というクリニックのアピールがあまりに虚しい。
神は細部に宿る─という言葉が思い浮かぶ。