朝日新聞と検診利権

胃がん検診(上) 内視鏡で死亡率減少に期待 デメリットも(朝日新聞デジタル)

胃がん検診に関する朝日新聞の記事には、大きな違和感を覚える。
成沢林太郎医師らは新潟市の胃がん検診で、内視鏡検査の胃がん発見率は、バリウム検査より3倍高いと報告。バリウム検査では発見が難しい食道がんを、内視鏡検査で数多く発見している。
この特集記事では、こうした事実に一切触れていない。一般の人でさえ、バリウム検査を毎年受けても、進行がんを見逃されていると知っている。
記事では一応、バリウム検査のリスクとして「誤嚥」や「腸閉塞」を挙げているが、その実態は極めて深刻だ。 「誤嚥」で肺に入ったバリウムは気管支に固着、これが原因で寝たきりの生活になる高齢者が出ている。
バリウムの腸閉塞で大腸に孔が開くケースが毎年60例ほど報告され、緊急手術が間に合わず死亡した例もある。 昨年、バリウム検査中に死亡事故が発生した事実も、記事中には見当たらない。

「ピロリ菌の未感染者に胃がん検診は不要」というのが、現在の胃がん診療におけるコンセンサスのはずだが、今回の記事では曖昧にされていた。
これから先も無駄な検査が続くことを、容認しているのだろうか。
「死亡率減少に期待」というリードも、市民感覚と離れている。
私たちが検診を受ける目的は「自分の命を守るため」だ。