歯科技工士たちの静かなる怒り

私たちの口の中に入る銀歯や入れ歯を作っている人たちが、不当に搾取されている。 不条理に対する怒りを溜め込んで、声を上げられずにいる。
少しでも歯科医たちに嫌われたら、仕事が無くなる可能性があるからだ。
実際に、歯科医たちが裏で申し合わせて、自殺に追い込まれた歯科技工士もいる。

歯科技工は、緻密な作業が続く
歯科技工は、緻密な作業が続く(C)M.IWASAWA

週刊ポストの記事を読まれた歯科技工士の方から、お便りをいただいた。
記事で紹介した状況と全く同じで、連日2時間程度の睡眠時間で製作に追われているという。
そうしなければ、家族を養っていけないからだ。

なぜ、現代の日本で、このような不条理が起きているのか?
単純に言えば、歯科医が技術料を「ネコババ」しているからだ。
少し丁寧な言葉にするならば、「技術料差益」で歯科医は儲けている。

保険診療の銀歯や入れ歯の「技術料」は、診療報酬として公定価格になっている。
そこに市場原理を持ち込む必要はない。

旧厚生省は技術料の配分について「歯科技工士7:歯科医3」であるという大臣告示を出した。
ただし、日本歯科医師会という強面の組織に配慮した担当官僚が、「霞が関文学」で解釈の幅を残したから、現在の混乱が起きている。

この「7:3」は、当時の技術料の配分を示しただけで、国が守らせるようなものではない、私の記事は事実誤認だと主張する、歯科医を中心にしたグループがいる。(メンバーの一部には技工士、衛生士も含まれているという)
その団体は、まず先に日本歯科技工士会や、全国保険医団体連合会に対して、事実誤認をしていると、正式に抗議すべきだろう。