日本歯科新聞発行の『アポロニア21』3月号に、元東京医科歯科大学・臨床教授だった安田登先生との対談を掲載していただいた。
テーマは、週刊ポストで連載した「やってはいけない歯科治療」の“裏話”。
『アポロニア21』編集長の水谷さんによると、記事に対する批判の声が歯科医から多数寄せられたという。
「歯科医師会からポストの取材は受けるな、という指示が回ってきた」とある地域の歯科医は言っていたし、「院内スタッフから取材に反対された」という声もよく聞いたので、よほど嫌われていたらしい。
そんな歯科業界の敵?と言っても過言ではない存在の私を、対談相手に選んで下さった理由の一つが、異例の長期連載(11回)だったこと。
実は、当初3回程度の短期連載を想定してスタートしたが、読者の反響が大きく、歯科医と患者の双方から情報が寄せられて、次から次へとテーマが広がっていった。
そして、連載途中から陰で支えてくれた、歯科医や歯科技工士の方々が現れたことも大きい。
インプラント治療の第一人者である歯科医は「問題点を伝えることはバッシングではない」という言葉で激励してくれた。
近年、医療現場では、モンスター化した中高年の男性患者による暴力行為が問題となっている。 先月、岐阜県で歯科医が患者の男(58)に包丁で刺殺されるという事件が起きた。新聞報道によると、男は治療上の不満を逆恨みしていたという。
犯行の内容から考えると、容疑者の人格や、無職だという環境的な事情が、大きく影響している可能性がある。
だが、自戒を込めていうと、マスコミの医療情報には、いたずらに不安を煽ったり、科学的根拠に乏しい治療を紹介しているものも少なくない。
今、週刊ポストの連載をベースにした単行本の取材を続けているが、問題点の告発だけではなく、歯科治療の希望となる部分もお伝えしたいと考えている。