高野病院に集まった寄付金の行方

高野病院に集まった寄付金を、広野町は目的外流用するのか?
高野病院
 
 
 
 
 
 
 

全町民が避難した中で、入院患者を守るために留まった高野病院は、昨年暮れに当時の院長・高野英男先生が急逝。存続の危機に陥ったことは、多くの方々がご存知だと思う。
4日、東大駒場駅そばの番来舎で、高野病院の理事長・高野己保氏が講演を行い、驚くべき事実を明らかにした。
『地域医療を守るため原発事故後唯一留まった高野病院を支援します』
このように銘打って、「ふるさと納税制度」を利用した寄付募集=クラウドファンディングを始めたのが「高野病院を支援する会」。広野町の遠藤町長が会長、南相馬市立病院の若手医師が事務局となっている。
当初の目標金額の250万円は、ボランティアなどで全国から駆けつけた医師の交通費や宿泊費(約3ヶ月間)費用補助が目的だった。高野英男先生の信念や、地域に残る唯一の病院としての重要性に賛同する人は多く、寄付の集まりは早かった。最終的に総額「894万円」、目標額を引くと、644万円が余る。
高野己保氏によると、なぜか、このカネは別のクリニックの移転補助金などに使われるというのだ。
これは、寄付金の「目的外流用」にあたるのではないか?
クラウドファンディングのプロジェクト概要を調べてみると、次のような“但し書き”が付いていた─
 『目標金額を上回った​金額​に関しては、広野町ふるさと応援寄附金事業の「健康で安心して暮らせるまちづくり事業」への寄付として、保健・福祉・医療体制の充実などの事業へ活用させていただきます』
高野病院
 
このような但し書きが入っているので、法的に問題はない。
しかし、クラウドファンディングに参加(寄付)した人々の思いは、高野病院の支援であって、広野町の予算に組み込まれることなど、想像もしていなかったのではないか。
高野病院は、今月から院長が交代、新たな体制でスタートしているが、経営的にも厳しい状況は続いている。
それでありながら、他のクリニックの移転にカネを使う広野町の感覚は、ズレているとしか言いようがない。

追記
目標金額を超えた寄付金の使途に関しては、広野町の判断で決定されている。南相馬市立病院の医師たちは、全く関与していない。