がんが消える人参ジュースの真相とは?!

「岸田徹がズバリ聞く 若尾 文彦先生・総集編」動画をYoutubeに公開しました。
「がんが消えた」という食事の本が、書店にたくさん並んでいます。
医師や料理家が、自身のがんを人参ジュースや野菜スープで「消した」という体験談もあり、悩める患者や家族の心を鷲掴み。
そんな簡単な方法で手強いがんが治るはずがない、と半信半疑ながらも、どこかで期待してしまう人は少なくありません。
果たして、その真相とは?

がんノートで情報を発信する岸田徹さん
20代で2度のがんを経験した岸田徹さん。がんサバイバーの声をWEBで発信している。(C)M.IWASAWA

「人生オモロク!」
「貯金も913円しかなくて」
あの保険のCMでお馴染みの岸田徹さんが、国立がん研究センター・がん対策情報センター長の若尾文彦医師に、ズバリ本音で聞いた動画シリーズ・第三弾です。

書店、口コミ、インターネットに、様々ながん情報が溢れる時代に、私たちが真偽を見極めるポイントとは?
自由診療の免疫クリニックの勧誘手口とは?
今回は、収録した内容をほぼそのままの形で「総集編」として公開しました。
インターネットの検索機能にも注意が必要、と若尾センター長は指摘しています。

がん治療についてYahoo検索をした結果
「肺がん ステージ4 治療法 最新」でYahoo検索をした結果…広告や根拠のないがん情報が紛れ込んでいる。(C)M.IWASAWA

例えば、利用率が高い「Yahoo」。
「肺がん」「ステージ4」「治療法」「最新」と入力すると──
上位4項目に表示されるのは「広告」で、全てが「自由診療の免疫クリニック」でした。
それぞれに「広告」の2文字は記されていますが、実にさりげなくて目立ちません。
本来の検索結果の1位は、ずっと下の5項目に表示されるので、パッと見た時に上位の広告をクリックしてしまう人も多いでしょう。(私にも経験があります)
今できる対策方法としては「入力キーワードを一つに絞る」こと。そうすると、国立がん研究センターのサイト「がん情報サービス」が一番上に表示されるはずです。

 国立がん研究センター:がん情報サービス <免疫療法について> 
国立がん研究センターがん対策情報センターが運営するサイトです

国立がん研究センター・がん対策情報センター長の若尾文彦医師
国立がん研究センター・がん対策情報センター長の若尾文彦医師(C)M.IWASAWA

若尾センター長は「標準治療」についても誤解が生じているとして、こう解説しています。
「最新の治療が、臨床試験で現行の標準治療よりも優位と証明されたら、今度は最新治療が標準治療になる。つまり、現時点での最善の治療が、標準治療。チャンピオンみたいなものなんです」
これは、免疫チェックポイント阻害剤が保険適用されていることを見てもお分かりでしょう。
「製薬企業が裏で手を引いているという話は本当?」
なんてことまで聞いてしまう岸田トークは、ここでも健在。また、SNSで、様々ながん情報が拡散される風潮について、若尾センター長は──。

「間違った情報、嘘の情報がシェアされて拡散されています。それで人の命が短くなってしまう場合もある、という責任を感じて慎重に行動してほしい」

グリーンルーペ・プロジェクト
がん患者会などが集まり立ち上げた、がんを「知る」プロジェクト・グリーンルーペ(C)M. IWASAWA

この動画は、「希望の会」理事長の轟浩美さんの呼びかけで、「キャンサーペアレンツ」「ワンステップ」「がんノート」の患者会4団体と、がん情報サイトを運営する「オンコロ」が、連帯して発足した「グリーンルーペ」のプロジェクトとして製作されました。
様々な情報で苦労した経験をもとに、がん患者や家族が自ら、正しい情報を発信することが目的。
私は撮影と編集を担当しています。
がん患者を惑わす「偽の情報」は、その背後に何らかの利益を得る思惑が隠されています。
「がん消える食事」の本は軒並みベストセラーで、出版社にとってはドル箱のネタ。自由診療の免疫クリニックは、有効性が証明されていない治療で、一人数百万円の治療費をとるケースも少なくありません。
でも、「偽の情報」「誇大な効果を謳った広告」であっても、違法行為と認定する法律がないため、野放しになっていたのです。

報道の立場から、私は当局の対応を繰り返し批判してきましたが、法的根拠がないものは仕方がないという閉塞状況が続いていました。
これを変える契機と期待されているのが、去年6月に施行さた「改正医療法」です。
誇張、虚偽の広告などを禁止、罰則規定を設けているので、ようやく規制の根拠ができました。
ただし、取り締まりはこれからなので、私たち自身が、正しい情報を選び取る必要があります。
「がん情報を疑ってかかる。良い情報を見つけても、これは本当なのか、嘘なのか、必ず吟味してほしい」
若尾センター長は、このように警鐘を鳴らしています。

動画は去年公開した「12分版」と「総集編の64分」の2タイプ。
ぜひご覧いただきたいと思います。

<岸田 徹がズバリ聞く! がん情報の見分け方:総集編64分版>

<岸田 徹がズバリ聞く! がん情報の見分け方:12分版>