原子力発電所が爆発して、放射性物質が拡散されて、間もなく8年が経つ。
故郷を奪われて、全国各地に避難した福島の住民たちは、今どうしているのか。政治家も、マスコミも、そして大半の国民も、思い返すことはほとんどない。
東京電力福島第一原発の事故で、福島県から神奈川県に避難した60世帯175人の住民が、国と東京電力に損害賠償を求めた、「福島原発かながわ訴訟」。
2月20日、横浜地方裁判所(中平健裁判長)は、国と東電の責任を認める判決を出した。
同様の裁判は、全国各地で30件提訴され、これまで判決が出た8件は全て東電の責任を認めた。国の責任も認めた判決は、今回で5件目。原告のうち152人に計約4億1963万円を支払うよう命じた。23人の請求は、事故発生時に単身赴任していた等の理由で棄却されている。
一見すると、多額の賠償金額に見えるが、原告弁護団によると、これまで東電が避難区域内の住民に対して精神的慰謝料として支払った分等が、賠償額から差し引かれる。その為、最も低い賠償額は約50万円、多くても450万円だという。
避難先で、生活再建をゼロからしなければならない原告たちにとって、決して見合った金額だとは思えない。
一方、今回の判決は、避難指定区域外から「自主避難」した住民に対しても賠償が認められたことは評価したい。
事故発生直後、この避難指定は、福島第一原発から半径20キロとして線を引いたが、放射性物質で汚染された地域を反映していなかった。だから避難指定区域外の福島市、郡山市、伊達市などでは、高い放射線量の「ホットスポット」が存在していた。
この8年間、いわゆる「低線量被ばく」の問題を追及している鈴木博喜さんというフリーライターがいる。
民の声新聞
鈴木博喜さんが福島の現状を発信するブログです
おそらく、その仕事が評価されるのは10年後かもしれない。
今は激しい批判を受けながら、その信念を貫いている。
自主避難した住民たちは、損害賠償などで差がつけられ、地元住民から中傷を受けるなどしている。しかも、来月からは、避難先の借り上げ住宅の補助も打ち切りとなる。
故郷を奪われた人々の声を聞いてほしい。