いまだバリウム検査に偏る胃がん検診の謎

過剰医療大国ニッポンの不都合すぎる真実 いまだバリウム検査に偏る胃がん検診の謎(東洋経済 5/21) 今週の東洋経済は、「医療費のムダ」を特集している。胃がん検診のバリウム検査について、多岐にわたる取材を基にした分析と考察がされているので、ぜひご一読いただきたい。私もご協力させていただいた。 臓器別に「がんのリスク因子」が、徐々に解明されている。胃がんの場合は「ピロリ菌」。つま […]

バリウム検査は「胃がんリスク検査」に切り替えるべき

先週に引き続き、週刊ポスト3/26 発売号では、検査特集を組んでいる。そこで「胃がんリスク層別化検査」=通称ABC検診を受けて、一命をとりとめた群馬大学元学長・鈴木守医師のご体験を書かせていただいた。世界的な熱帯医学と寄生虫の研究者である鈴木医師が、胃がんリスク検査を勧める理由を、ぜひ知っていただきたい。 簡単に説明すると、胃がんリスク検査は、胃がんの主要因である「ピロリ菌の感 […]

【動画】スキルス胃がんを早期発見する極意とは

私の事務所でお手伝いしている、スキルス胃がん患者家族会「希望の会」の動画・第4弾を公開した。   日本の公的な胃がん検診は、現在でもバリウム検査が主流だが、「内視鏡検査の方が3倍も発見率が高い」、「見逃しが多い」、「バリウムが大腸に滞留して孔を開ける」などの問題を抱えている。スキルス胃がんは、早期発見が難しく、進行も早いし、治療が難しい。胃がん全体の約1割を占めており […]

【動画】スキルス胃がんと闘った美奈子さんの伝言

スキルス胃がんの闘病中だった上山美奈子さんが、昨日の明け方に永眠された。今年4月、希望の会(スキルス胃がん患者家族会)のメッセージ動画は、体調を崩していたこともあって、入院先のベッドに座って撮影した。残された時間の中で、美奈子さんが伝えたかったこと、それをぜひお聞きいただきたい。 これまでスキルス胃がんは、早期発見が難しいと決めつけられてきた。「バリウム検査の方が、スキルス胃が […]

「胃がん、大腸がん検診で4割見逃し」のNHK報道に対する”検診ムラ”の圧力と焦り

がんセンター:見落とし評価困難 NHK検診報道で声明(毎日新聞2017年7月13日) 先月26日、NHKは「青森県の胃がん・大腸がん 検診で、4割が見落とされた可能性がある」という弘前大学の調査結果(青森県からの委託事業)を報道した。がん検診の頂点に君臨してきた、国立がん研究センターの検診研究部としては、面子を潰された格好になったわけだが、昨日(7月13日付)で、「見解」を公表 […]

バリウム検査・7つの大罪

厚労省が、ようやく胃がん検診にヘリコバクター・ピロリ菌の感染を考慮する方針を決めた。実は、ここに至るまで「検診ムラ」による強い抵抗と妨害があったことは、週刊ポストや拙著でお伝えしてきた。それでも、自治体や職場の胃がん検診は、まだバリウム検査を続けている。根拠となっているのは、国立がん研究センター・検診研究部によるガイドラインだ。そこには「7つの大きな罪」が隠されていることを指摘 […]

中学生のピロリ除菌治療は妥当か?

佐賀県では、中学生を対象にピロリ菌の検査と除菌治療が始まっている。この政策決定には、知事が胃がんだったことが大きく影響しているようだ。若い時から自分の胃がんリスクを把握することは、自己管理のモチベーションになると思う。 ただし、HPVワクチンで多くの副作用例が出たことを考えると、10代前半で除菌治療を行うのは早すぎるのではないか。 佐賀県は、事業開始から1年たったのを機に、中間 […]

【胃がん検診】バリウム検査は終わりを迎える

私たちが胃がん検診を受ける理由は、ただ一つ。「胃がんで死にたくない」しかし、検診学者たちは口を揃えて、このセリフを言う。 「国として死亡率を減らすことが重要」 日本では、前時代的なバリウム検査が今も主流で、助かる命が見殺しにされてきた。 バリウム検査より、内視鏡検査の方が胃がん発見率が3倍高い。さらにバリウム検査は「見逃し」も多く、バリウム製剤が大腸で固まって孔を開ける重篤な事 […]

【動画】人間を見ていない胃がん検診、そしてピロリ菌の誤解

轟哲也さん:「スキルス胃がんは、20代から40代の患者も多い。幼子を抱えた母親が命を失っています。胃がん検診ガイドラインでは、スキルス胃がんの早期発見について、どのような考慮がされているのでしょう?」 濱島ちさと氏:「スキルスを対象に評価はしておりません。  検診の効果、利益と不利益のバランスが取れるところで、対象年齢を50歳以上に引き上げました。 がん検診自体、疾病負担の多い […]

ピロリ菌の感染率から見えてくる「検診の裏側」

5日の厚労省がん検診あり方検討会で、上村直実先生が配布した資料の中に、年代別のピロリ菌感染率のグラフがあった。これを見ると、胃がん検診の対象年齢である50歳で、ピロリ菌に感染しているのは約4割。 つまり、6割は胃がんのリスクが殆どないにも関わらず、バリウムを飲まされているのだ。 検診コストも無駄でしかない。   しかし、検診学者は、ピロリ菌の感染有無を胃がん検診に反映 […]

【動画】轟哲也さんが最後に遺した言葉

「緩和ケアは、終末期になってからお世話になるものと思っていました」 轟哲也さんは、こんな言葉から自分の率直な思いを語り始めた。2016年7月16日、聖路加国際病院の市民講座で、彼は妻・浩美さんと共に、進行がんの闘病に緩和ケアがなぜ必要なのか、当事者の立場から伝えている。 一時期、とても険悪な状態に陥ってしまった轟夫妻を救ったのは、聖路加国際病院の緩和ケア医・林章敏先生だった。緩 […]

胃がん検診とピロリ菌

内視鏡による胃癌検診の実態にびっくり、ちょっと嘆かわしい発言「たぶちまさふみブログ」 胃がん発見率は、内視鏡の方がバリウム検査よりも3倍も高い。 ただし、内視鏡を扱う医師の「診断力」や、胃がんを早期発見する「意識」には、大きな格差がある。田渕先生によると、今月の消化器内視鏡学会で、「胃がん検診の内視鏡検査は5分、生検率7%が基本」と発表した医師がいたらしい。このローカルルールを […]

【動画】スキルス胃がん患者と家族からの伝言

3年前の9月、横浜の会議場で轟哲也さんに初めて会った。その頃、彼は紅光(べにみつ)というハンドルネームで、スキルス胃がんの闘病生活をブログに記していた。毎年欠かさず、東京渋谷区の胃がん検診を受けながら、スキルス胃がんが判明した時は、完治が難しいステージ4。戸惑いや怒りの気持ちを抑えながら、轟さんはスキルス胃がんの治療情報を調べ、患者同士のネットワークを築こうとしていた。 横浜で […]

バリウム検査は救える命を見捨てている

去年から公的な胃がん検診として内視鏡検査の導入が始まったが、大半の自治体はバリウム検査のままだ。全国に先駆けて内視鏡検査を導入した新潟市では、バリウム検査よりも3倍も早期胃がんの発見率が高いと判明した。 「胃がんの99%がピロリ菌由来」であることは、消化器を専門とする医師たちの中で共通認識となっている。バリウム検査は、医師たちがレントゲン画像を読影して、胃がんの疑いがあるケース […]

胃がん検診と歯科医療

今週発売中の週刊ポスト「ニッポンにワクチンを普及させたくない医療ムラの不都合な真実」にコメントさせていただいた。 時代遅れのバリウム検査 既得権があり今も採用中 予防医療更新国・日本 「病気になってから治す」感覚強い 胃がんは、早期発見すれば完治可能であるとして、公的ながん検診として、国はバリウム検査だけを推奨してきた。しかし、消化器専門の医師で、胃がん検診としてバリウム検査を […]

轟哲也さんとの約束

先月、僕が尊敬する轟哲也さんが亡くなり、虚無感にとらわれてしまっていた。歯科治療の連載は立ち止まる事ができないので、ギリギリのところで繋いできた。FBを更新する気力もなく過ごしていたけれど、動き出さなければ、轟さんや、希望の会を引き継いだ妻の浩美さんに申し訳が立たない。 国が推奨する胃がん検診を毎年受け、要精検という通知で内視鏡検査に行きながら、轟さんはスキルス性胃がんを見落と […]

続・緩和ケア、そして利他的な精神について

昨日、聖路加国際病院・日野原記念ホールでの講演後、轟哲也さんはロビーに移動するとソファに崩れるように横たわった。体力的には限界に達していたのは明らかで、すぐに主治医でもある 林章敏先生がバイタルチェックをしていた。無理を押してまで、哲也さんが伝えたかったこと、それは、がん患者と家族が実感した緩和ケアの存在意義であり、未だに残る誤解を解くためだったと思う。   &nbs […]

緩和ケア、そして利他的な精神について

スキルス胃がん患者・家族の会を立ち上げた、轟哲也さん、浩美さん夫妻が、今日午後に聖路加国際病院で、緩和ケアをテーマに講演をした。轟哲也さんは、かなり体調が悪化して、辛い表情をしている時間が長くなったが、この日に向けて自分を奮い立たせていたようだった。自分の体験を少しでも多くの人に知ってもらい、進行がん治療の厳しさを和らげてもらいたいという、利他的な心が哲也さんの身体を動かしてい […]

「がん対策基本法」をめぐる問題点について

きょうの朝日新聞オピニオンの頁に掲載された。   ハフィンポスト日本版に投稿した「がん対策基本法」をめぐる問題点について記した私の記事が、6月14日の朝日新聞朝刊で紹介されている。 「がん対策基本法改正案をめぐる疑問」 HUFFPOST JAPAN(2016.6.7) 日本のがん対策は、「最大多数の最大幸福」の概念に基づいており、「希少がん、難治性がん、小児がん」につ […]

朝日新聞と検診利権

胃がん検診(上) 内視鏡で死亡率減少に期待 デメリットも(朝日新聞デジタル) 胃がん検診に関する朝日新聞の記事には、大きな違和感を覚える。 成沢林太郎医師らは新潟市の胃がん検診で、内視鏡検査の胃がん発見率は、バリウム検査より3倍高いと報告。バリウム検査では発見が難しい食道がんを、内視鏡検査で数多く発見している。この特集記事では、こうした事実に一切触れていない。一般の人でさえ、バ […]