無法地帯の自由診療、無責任な免疫クリニック

「オプジーボ」と免疫療法 併用リスクに製薬会社も注意喚起[NEWSポストセブン2017.9.3] オプジーボ、ヤーボイなどの免疫チェックポイント阻害剤と、NK細胞療法を組み合わせた、独自の治療を行う自由診療の免疫クリニックが複数ある。オプジーボに関しては、これまでにない高い効果が報告されている一方、間質性肺炎や免疫系などの重篤な副作用が確認されている。「諸刃の剣」ともいうべき、 […]

免疫療法クリニックの奇妙なグラフ

東京で展開している免疫クリニックのホームページに掲載されている「樹状細胞ワクチン療法の累積症例実績」を示す2つのグラフ。このクリニックが技術提供を受けている会社の契約医療機関の症例合計だという。 2017年3月末にデータを更新している「累積症例実績」(画像1)は、右肩上がりに伸びていることを示している。そして、部位別のグラフ(画像2)は、すい臓がんの症例が突出して多い、と読み取 […]

<免疫療法>国立がん研究センター・前理事長の矜持

<暴走する免疫クリニックを厳しく批判した、国立がん研究センター・前理事長の矜持> 週刊ポスト9月8日号『受けてはいけない免疫療法』において、私は免疫療法クリニックについて調査報道を行なった。 末期がん患者が騙される免疫細胞療法[週刊ポスト2017.9.8号]・ がん患者がすがる「免疫療法」医師同士は競合を詐欺師扱い・ 免疫療法に誘導する巧妙手口 画像偽装、患者TV 出演など・ […]

白衣の詐欺師たちは、同じ手口を使う

有効性が定かではないのに高額な費用をとる、自由診療の〝免疫細胞療法〟(以下、免疫療法)。これでボロ儲けしてきた「白衣の詐欺師」たちは、いま不安に苛まれている。無届けの臍帯血療法で医師らが逮捕され、次は詐欺的な免疫療法がお縄になる可能性が出ているからだ。 巷の民間クリニックで行われている免疫療法は、患者から血液を採取して、リンパ球中の免疫細胞を培養したり、がん細胞の目印をつけて患 […]

がん患者が告発する「免疫療法の闇」

その女性は、医療関係者だから、自分がステージ4のがんだと知った時に専門知識をフル稼働させ、地域で最も信頼できる大学病院で、最善の治療を選択した。画像や腫瘍マーカー値では、がんが確認されない「寛解」に持ち込んだが、再発の不安はつきまとってきた。 治療を受けた大学病院の敷地内に「がん免疫細胞療法」という先進医療を行う民間施設があると知ったのは、偶然に見たテレビの番組だった。自分の免 […]

薬害肝炎の救済は、まだ終わっていない

血液製剤フィブリノゲンなどによって、C型肝炎ウィルスに感染させられた、薬害肝炎事件。救済を受けるには、血液製剤の投与証明が必要となる。だが、20年以上前の事であり、カルテが廃棄されたり、担当した医師が亡くなるなど、証拠確保は困難を極めている。推定される被害者のうち、まだ8割の人が救済手続きができていないという。そのため、時限立法である薬害肝炎救済法の期間延長は、喫緊の課題である […]

「胃がん、大腸がん検診で4割見逃し」のNHK報道に対する”検診ムラ”の圧力と焦り

がんセンター:見落とし評価困難 NHK検診報道で声明(毎日新聞2017年7月13日) 先月26日、NHKは「青森県の胃がん・大腸がん 検診で、4割が見落とされた可能性がある」という弘前大学の調査結果(青森県からの委託事業)を報道した。がん検診の頂点に君臨してきた、国立がん研究センターの検診研究部としては、面子を潰された格好になったわけだが、昨日(7月13日付)で、「見解」を公表 […]

「患者不在」の報道記事

機器を使い回さない歯科を探すには(yomiDr. 2017.7.7) 「ハンドピースの使い回し」など、医療機関としてあるまじき行為だし、20年以上前から問題視されていた。対策に消極的だった厚労省と日本歯科医師会の姿勢は「不作為」でしかない。昨年、この問題で私の取材に応じた、日本歯科医師会の幹部は「患者ごとにハンドピースを交換していない場合でも、空回しをしてアルコールで拭き取るな […]

“保険と自費”歯科治療の不思議なダブルスタンダード

「〝どうせそれは保険だから〟という言い方をする歯医者の先生がたくさんいるんです。 でも私は、保険だからといって手を抜かず、やってきました。 もし一度でも手を抜いたら、それが自分の技術レベルになるからです」 昭和27年から今も現役を続ける、歯科技工士の大島良市さんを訪ねてきた。保険でも自費でも同じクォリティで仕事をする、という信念を貫いている人だ。使い込まれた作業場には、その熱い […]

インプラントは毒にも薬にもなる

歯科医・小宮山彌太郎氏が、集まった若者たちに伝えようとしたのは、歯科医としての「哲学」。 インプラント治療を日本に導入した先駆者であり、現在も臨床の第一線でインプラント手術を行うレジェンドとして、日本中の歯科医から尊敬を集めている人だ。 その小宮山氏が憂いているのは、歯科業界に起きているモラルハザードである。 「B-フィロソフィー」と題した若手歯科医や歯科医衛生士を対象にしたセ […]

バリウム検査・7つの大罪

厚労省が、ようやく胃がん検診にヘリコバクター・ピロリ菌の感染を考慮する方針を決めた。実は、ここに至るまで「検診ムラ」による強い抵抗と妨害があったことは、週刊ポストや拙著でお伝えしてきた。それでも、自治体や職場の胃がん検診は、まだバリウム検査を続けている。根拠となっているのは、国立がん研究センター・検診研究部によるガイドラインだ。そこには「7つの大きな罪」が隠されていることを指摘 […]

歯科治療に関する本を出版します

昨年、週刊ポストで、私が全11回の連載記事を執筆した「やってはいけない歯科治療」。 これまでの週刊ポスト連載記事一覧 なぜ治療しても虫歯や歯周病が再発するのか、なぜ日本人の口は「銀歯」だらけなのか、なぜインプラント治療で事故やトラブルが多発するのかー  歯科関係者が実名で証言する内容に、大きな反響があったが、それは多くの人が歯科治療に対して、疑問や不信感を抱いている表 […]

中学生のピロリ除菌治療は妥当か?

佐賀県では、中学生を対象にピロリ菌の検査と除菌治療が始まっている。この政策決定には、知事が胃がんだったことが大きく影響しているようだ。若い時から自分の胃がんリスクを把握することは、自己管理のモチベーションになると思う。 ただし、HPVワクチンで多くの副作用例が出たことを考えると、10代前半で除菌治療を行うのは早すぎるのではないか。 佐賀県は、事業開始から1年たったのを機に、中間 […]

医療界、そして法曹界のモラルハザード

免疫チェックポイント阻害剤・オブジーボをめぐる問題について、ロハス・メディカルの川口 恭氏が核心を分かり易く解説しているので、ぜひご一読いただきたい。 『難民と医療不信が大発生 オプジーボの光と影②』[市民のためのがん治療の会 シリーズ・がん治療の今] 自由診療の免疫治療クリニックは、進行がんの患者をターゲットにした悪徳ビジネスに等しい、という声を患者家族から聞いた。追い込まれ […]

【胃がん検診】バリウム検査は終わりを迎える

私たちが胃がん検診を受ける理由は、ただ一つ。「胃がんで死にたくない」しかし、検診学者たちは口を揃えて、このセリフを言う。 「国として死亡率を減らすことが重要」 日本では、前時代的なバリウム検査が今も主流で、助かる命が見殺しにされてきた。 バリウム検査より、内視鏡検査の方が胃がん発見率が3倍高い。さらにバリウム検査は「見逃し」も多く、バリウム製剤が大腸で固まって孔を開ける重篤な事 […]

【動画】人間を見ていない胃がん検診、そしてピロリ菌の誤解

轟哲也さん:「スキルス胃がんは、20代から40代の患者も多い。幼子を抱えた母親が命を失っています。胃がん検診ガイドラインでは、スキルス胃がんの早期発見について、どのような考慮がされているのでしょう?」 濱島ちさと氏:「スキルスを対象に評価はしておりません。  検診の効果、利益と不利益のバランスが取れるところで、対象年齢を50歳以上に引き上げました。 がん検診自体、疾病負担の多い […]

ピロリ菌の感染率から見えてくる「検診の裏側」

5日の厚労省がん検診あり方検討会で、上村直実先生が配布した資料の中に、年代別のピロリ菌感染率のグラフがあった。これを見ると、胃がん検診の対象年齢である50歳で、ピロリ菌に感染しているのは約4割。 つまり、6割は胃がんのリスクが殆どないにも関わらず、バリウムを飲まされているのだ。 検診コストも無駄でしかない。   しかし、検診学者は、ピロリ菌の感染有無を胃がん検診に反映 […]

歯周病治療でカギを握るのは歯科衛生士の存在

歯周病を予防しようBlog(歯科衛生士 太田由美さん) フリーランスの歯科衛生士として活躍している太田由美さんが、週刊ポストの取材でお会いした時のことを、ブログでご紹介してくれた。太田さんは日本臨床歯周病学会から認定されている、極めて専門性が高い歯科衛生士。 歯周病治療に訪れる患者の大半が、「セルフケア」ができていないし、大きな誤解をしているというのだ。 「値段の高いハミガミペ […]

「反日」を平気で使う人々

最近、尊敬する医師お二人のFBで、「反日」という言葉を相次いで見かけた。理性的な投稿記事の中で「反日」の二文字はなんとも異質で、暴力的な暗い光を放っていた。文脈的には、現政権に批判的な人を指しているらしい。 親から戦時中の苦労話を散々聞かされた私などは、「反日」という言葉を使う感覚が理解できない。「反日」から「非国民」という言葉が想起されるからだ。若い世代では知らない人も多いか […]

【動画】腫瘍内科医・押川勝太郎先生の勉強会

「進行がんに、サプリメントや漢方薬の効果はありますか?」27日午後、東京・大崎の会議室に、進行がんの患者や家族が集まり、腫瘍内科医・押川勝太郎さんを囲んだ。 その時、大腸がんステージ4の患者が、冒頭の質問を投げかけた。 抗がん剤治療をしている60代の人で、少しでも可能性があるなら、何でも試したいという。 自分も同じ立場になったら、科学的根拠がなくても手を伸ばしてしまうかもしれな […]